都道府県はどのようにしてできたのか? -都道府県の成り立ちと変遷-
日本には47の都道府県があります。
これらの都道府県はどのような経緯で成立し、どのような変遷を経てきたのでしょうか?
実は最初から現在のような形であったわけではなく、紆余曲折を経て成立しています。
ここでは都道府県の成り立ちと変遷について見ていきます。
なお、都道府県名の由来については次のページをご覧ください。
廃藩置県と府県の成立
現在の都道府県につながる府県はどのような経緯で成立したのでしょうか?
府県の成立時期は旧幕府領(天領)と藩領とでは異なります。後者は明治4年(1871年)の
府藩県三治制
同じ年の旧暦
一方で各地にあった
このように旧幕府領の府県と藩領の藩が併存する地方統治体制を府藩県三治制と呼びます。
ただし各藩は財政難や権威の失墜による体制の動揺などで従来の体制を維持できず、廃藩を申し出る藩が相次ぎました。これら廃止された藩の領域には順次県が設置されました。
廃藩置県
府藩県三治制は新体制である府県と旧体制である藩が併存する体制で、成立当初から統治は困難を極めました。府藩県の領域は従来の幕藩領域を継承したものであるため領域が複雑に入り込んでいたり飛び地が多かったりするなどして、統治には非効率でした。また府県の領域は全体の4分の1程度であったため政府が直接手に入れられる税収は少なく、財源の確保が問題になりました。
この体制を改めるべく、藩を廃止してすべて政府直轄の県を置く
廃藩置県直後は従来の藩の領域をそのまま県に置き換えたため、従来の複雑な境界や飛び地は維持されました。このままでは非効率であったため、同じ年の10月から11月(新暦の12月から翌1872年1月)にかけて府県統合(第一次府県統合)が行われ、3府72県に整理されました。このときの整理は飛び地をなくし、旧来の国郡の領域を基本とした一円的な領域とされました。また府県の規模も財政状況などを加味され、ここに実質的に現在の都道府県につながる地方統治体制が初めて構築されました。
廃藩置県後の都道府県
廃藩置県後の府県はどのようにして現在のような姿になったのでしょうか?
府県の整理
その後もしばらくは府県の整理統廃合は続き、領域は一定しませんでした。特に1876年(明治9年)に実施された府県統合(第二次府県統合)は大規模なもので、このときに過去最少の37府県に減少しました。これらは各県の財政規模にもとづいて設定されたものと考えられます。
だだしこれにより従来の国の領域を超えた広い領域を持つ県が誕生し、各地の地域間の利害が対立し各地で分県運動が発生しました。そのためその後は再び府県の分割が行われ、府県の数は増加していきました。最終的に1888年(明治22年)に愛媛県から香川県が分立して以降府県の分割は行われなくなり、この時点で現在の都道府県の枠組みが確定しました。
沖縄県の成立
沖縄と北海道はそれ以外の地域とは異なる経緯を持っています。
沖縄は
北海道の成立
北海道は人口密度が低く、開拓を推し進める地方行政機関として
十年計画の満期を迎えた1882年(明治15年)に開拓使が廃止され、他の地域と同様に札幌、
行政の効率化と開拓行政推進のため、1886年(明治19年)に三県一局を廃止、統合して北海道庁が設置されました。こうして北海道は1つの地方機関の下に置かれることとなり、北海道庁は他の府県と同列の機関と位置付けられました。ただし扱いは他の府県と若干異なり、府県と同格の法人格の名称としては「北海道」ではなく「北海道庁」で、トップの役職も北海道庁長官でした。
府県のその後
このようして1888年(明治22年)には現在と同様の1庁3府43県の枠組みが確立されました。府県間の境界の移動についても、1893年(明治26年)の
戦時中の1943年(昭和18年)に
終戦により樺太は放棄され、戦後になって沖縄が米軍統治下に入り外れました。また地方自治法の施行により北海道庁は他都府県と同様に北海道が法人格の名称となりました。これにより1都1道2府42県体制となりました。
1972年(昭和47年)の沖縄返還により沖縄県が復帰し、1都1道2府43県体制となり、現在に至ります。
まとめ
ここでは都道府県の成り立ちと変遷について見てきました。
府県の成立は段階を踏んでいました。旧幕府領と藩領とではそれぞれ異なる経緯をたどり一時的に府県と藩が並立していましたが、最終的に廃藩置県によって藩の領域が県に置き換わりました。その後も整理統廃合を繰り返して現在のような都道府県の体制になりなしたが、北海道や沖縄は他の地域とは異なる経緯を経て成立しました。
現在の都道府県が成立するまで紆余曲折があったことがおわかりいただけたのではないでしょうか?
参考・ソース
参考文献
- 松沢裕作 『町村合併から生まれた日本近代 明治の経験』 講談社、2013年
(https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000195525) - 齊藤忠光 『地図とデータでみる都道府県と市町村の成り立ち』 平凡社、2020年
(https://www.heibonsha.co.jp/book/b498585.html) - 国史大辞典編集委員会編 『国史大辞典』 吉川弘文館、1979/1997年
- 『日本歴史地名大系』 平凡社、1979/2003年
- 角川日本地名大辞典編纂委員会編 『新版 角川日本地名大辞典』 角川学芸出版、2011年