ー地理好きはこうして作られたー
地理に対する興味の原点
私が地理に興味を持ったのは小学生の頃でした。当時自宅に道路地図や住宅地図があり、暇さえあればそれらの地図を眺めていた記憶があります。今も地図を見るのは好きですが、その原点はこの頃にあったようです。また親に全国の都道府県パズルを買ってもらい、何度も遊ぶうちに都道府県の位置や形も覚えていきました。
地図を眺めているうちに地理に関しての知識が増えていきました。どこにどのような地名があり、都市があり、山や川があり、道路や鉄道がある、といったことが知識として蓄えられていきました。小学校低学年ですでに全都道府県は位置と形まで覚えていたと記憶しています。学校で習っていない漢字でも都道府県名と県庁所在地名は漢字で書けるようになっていました。蛇足ですが最後に覚えた漢字は愛媛県の「媛」でした。他には1桁から2桁の国道もルートを覚えていました。
地理に関する知識が貯まっていくと、それらを集めてリストにするようになりました。例えば各都道府県の高い山や大都市などを自分で調べてノートにリスト化していました。現在であれば集めた情報をExcelでDB化していますが、その原点はすでにこの頃からありました。
また、実際に自分で地図を描くこともありました。日本地図はそれほど正確ではありませんが小さい頃から細かい地図を描くことができました。またまったく架空の地図も描いていました。いわゆる空想地図で、ノートやチラシの裏に道路地図や住宅地図を想定した架空の地図を描いていました。
外に出ては親に運転してもらう車の中で流れる景色を眺めるのが好きで、いつも助手席が自分の特等席でした。道路標識に記載された地名を見るのが好きで、知らない地名は親に尋ねて読み方を教えてもらったりしていました。
地理に熱中
小学校高学年になると社会科の授業で地理が出てきます。白地図に都道府県名を書き込むワークは余裕でした。小学校では自分が住む地域の内容を学ぶ内容が中心でしたが、ここでも自分独自の地図を作成するなど非常に楽しかった記憶があります。
また地図帳に記載された地図が非常に興味深いものでした。都市の人口や各地の特産品などが細かく書き込まれていたため、各地の特徴を知ることになりました。クラスの地理好きの同級生と地図帳から都市を探し出すゲームをして盛り上がっていました。
私の家族は自家用車で日本中を家族旅行してました。旅行プランを立てるのは私の役割で、行き先をもとにルートを決め、タイムテーブルを作っていました。当時はまだカーナビが普及してなかった時代、移動中は助手席で道路地図片手にナビ役を務めてました。また実際に旅行で行った先で見聞きした全国各地の景観や文物などその土地を五感で感じるまたとない機会となりました。行く前に頭の中で想像していた姿とはまったく違う姿に圧倒されるなど様々な経験ができました。
中高の頃には自宅にPC(当時はNEC PC-8801)があり、それを使って「シムシティ」や「A列車で行こう」といった都市経営シュミレーションゲームで遊んでいました。実際に土地に道路や線路を引き、ビルや工場を建てて街を育てるという感覚に醍醐味を覚えました。
興味の広がり
受験生のころは受験勉強そっちのけで全国の大学の分布を調べることに熱中し、どこにどのような大学があるかを把握しました。受験時に上京のために初めて自分で時刻表をもとに鉄道に乗車するという経験をしましたが、それ以降時刻表に興味を持ち自分で空想鉄道旅行を行うようになりました。大学進学と共に上京し、それまでほとんど知識のなかった東京の地名や複雑な鉄道路線網も1年も経たずに頭の中に入りました。自動車免許取得後は親の車やレンタカーで日本各地を移動し、国道の乗り潰しをしていました。
大学の時に購入したPC(当時はWindows 98)を使ってExcelで集めた情報をDB化するようになりました。この流れは社会人になった後、現在まで続きます。当初は図書館に通い様々な資料(史料)をもとに自分でDBを作っていましたが、Webが発達するとインターネット上からも情報が得られるようになったのでそれらも収集材料となりました。
実生活とのかかわり
実は小学校高学年から興味の主軸は地理よりも歴史に移りました。高校では地歴で地理と日本史を選択しましたが、受験で使用したのは日本史でした。大学は歴史(日本中世史)を専攻しました。
ただし地理と歴史は別物ではなく、空間的広がりを扱う地理と時間的広がりを扱う歴史はお互い関係しながら両輪として機能します。その土地の成り立ちや経緯を捉える上では歴史の知識は欠かせないものですが、その時に過去に勉強した歴史の知識が役に立ちます。各地の特徴をつかむ際に歴史を知っているとその背景の理解が深まるため、歴史を学んだことは地理の知識を増やす上でも大いに役立っています。
大学卒業後は地理や歴史とはまったく関係ないIT系のエンジニアになりました。ただしそのような中でも地理に対する興味は失われず、社会人になってからは興味が歴史から地理へと回帰しました。前述のように趣味で地理データの収集、集計などを行っていますが、それらには業務で得たIT知識が役に立っています。
地理好きが生まれた理由
なぜ地図を眺めることが好きだったのでしょうか? なぜ地理に興味を持ったのでしょうか?
今考えてみると、それらを見ることによって非日常の世界に入り込むことができることがあったと思います。普段生活している範囲とは異なる世界、それはたとえばマンガだったり音楽だったり人によって異なると思いますが、自分にとってはそれが地図や地理だったのでしょう。
地図を眺めたり地理のことを考えていたりデータを集めていたりすると時間が過ぎるのも忘れて没頭することができる、日常のいやなことも忘れて現実逃避できる、そのような存在が私にとっては地理だったと言えます。
おそらく死ぬまで興味が尽きることはないでしょう。そんな存在が私にとっての地理なのです。